お子さんのゲーム・動画のやりすぎを防ぐ!利用時間と課金ルールを親子で作る方法
1. なぜ利用時間と課金ルールが必要なのか
現代の子供たちにとって、オンラインゲームや動画視聴は身近な娯楽の一つです。しかし、その手軽さゆえに、「気づいたら長時間プレイしていた」「知らないうちに課金してしまった」といった状況に陥る心配を抱える保護者の方も少なくありません。
適切なルール作りは、お子さんがインターネットを安全かつ健全に利用し、他の大切な活動とのバランスを保つために不可欠です。単に「やめなさい」と叱るだけでなく、親子で納得できるルールを定めることで、お子さん自身の自律性も育むことができます。
主な目的は以下の二点です。
- 健康と生活リズムの維持: 長時間の利用は、視力低下や姿勢の悪化、睡眠不足の原因となることがあります。また、学習時間や外での遊びの時間など、他の大切な活動が疎かになる可能性もあります。
- 金銭トラブルの回避: アプリ内課金やゲーム内アイテムの購入は、お子さんが意図しない高額請求につながることがあります。金銭感覚が未熟なうちに、無制限に使える環境は避けるべきです。
これらの心配を解消し、お子さんが安心してデジタルコンテンツを楽しめるように、具体的なルール作りに取り組んでみましょう。
2. 親子でネットルールを作るステップ
「ルール作りは難しそう」「子供が納得してくれるか不安」と感じるかもしれません。しかし、ポイントを押さえれば、親子で協力しながら無理なくルールを策定できます。
ステップ1: まずは話を聞くことから始める
一方的にルールを押し付けるのではなく、まずはお子さんの話に耳を傾けることから始めましょう。
- 何に夢中になっているのかを知る: どのようなゲームや動画を見ているのか、何が楽しいのか、お子さんの興味関心を理解しようと努めます。
- お子さんの意見を尊重する姿勢: 頭ごなしに「ダメ」と否定せず、「なぜそれが好きなの?」と質問するなど、共感的な姿勢で接することで、お子さんは安心して本音を話してくれるようになります。
ステップ2: 家族でルールを話し合う
お子さんの話を聞いた上で、家族みんなで話し合いの場を持ちます。
- ルールが必要な理由を伝える: 「目が疲れないように」「大切な勉強の時間を作るため」「お家のお金を守るため」など、お子さんが理解できる言葉で、なぜルールが必要なのかを具体的に説明します。
- 具体的な内容を決める:
- 利用時間: 「平日と休日の何時から何時まで」「1日に何分まで」など、具体的な時間を決めます。学校のある日、ない日で分けても良いでしょう。
- 利用場所: 「リビングなど家族がいる場所で使う」「寝室では使わない」など。
- 課金について: 「課金は必ずおうちの人に相談する」「月に〇〇円までならOK」など、事前に相談するルールや上限を設けます。
- ルールを破った場合の対応: 「ルールを破ったら翌日はゲーム禁止」など、どのような対応になるかをあらかじめ決めておくことも大切です。
- 一緒に考える: お子さんの意見も聞きながら、家族みんなで納得できる妥協点を見つけましょう。お子さんが自分で決めたルールには、責任を持って守ろうという気持ちが芽生えやすくなります。
ステップ3: ルールを「見える化」する
話し合って決めたルールは、紙に書き出して家族みんながいつでも見られる場所に貼っておきましょう。
- 具体的な場所: 冷蔵庫やリビングの壁など、目につきやすい場所がおすすめです。
- 親子でサイン: 決めたルールに親子でサインをすることで、お互いの約束事として意識が高まります。
- 定期的な見直し: お子さんの成長や状況に合わせて、ルールも変化していくものです。数ヶ月に一度など、定期的に見直しの機会を設けることをおすすめします。
3. デバイスごとの時間制限・課金制限の設定方法
話し合いで決めたルールを補完するため、デバイスの機能を活用した設定も行いましょう。ここでは、代表的なデバイスでの設定方法を分かりやすく解説します。
3-1. スマートフォン・タブレット (iOS/Android)
スマートフォンやタブレットには、利用時間制限やアプリ内課金制限のための機能が標準で搭載されています。これらを活用することで、お子さんの安全な利用をサポートできます。
【iOSの場合:スクリーンタイムを活用する】
「スクリーンタイム」は、お子さんのデバイス利用状況を確認し、利用制限を設定できるAppleの機能です。
設定手順の例:
- 「設定」アプリを開きます。
- 「スクリーンタイム」をタップします。
- 初めて利用する場合は「スクリーンタイムをオンにする」をタップし、「これは自分用の[デバイス]ではありません」を選び、「ペアレンタルコントロールを設定」をタップします。
- すでに「ファミリー共有」を設定している場合は、「お子さんの利用状況を確認」の欄にお子さんの名前が表示されるので、それをタップして設定を進めます。
- スクリーンタイム・パスコードを設定します。
- お子さんには知られないパスコードを設定し、メモなどに控えておきましょう。
- アプリ内課金の制限を設定します。
- 「コンテンツとプライバシーの制限」をタップし、オンにします。
- パスコードを入力し、「iTunes Store と App Store での購入」をタップします。
- 「App 内課金」をタップし、「許可しない」を選択します。
- アプリ使用時間の制限を設定します。
- 「App 使用時間の制限」をタップします。
- 「制限を追加」をタップし、制限したいアプリのカテゴリ(例:ゲーム、エンターテインメント)を選択します。特定のアプリだけ制限することも可能です。
- 「次へ」をタップし、1日の利用時間を設定します。「毎日同じ制限」または「曜日ごとに設定」を選べます。
- 設定が完了したら「追加」をタップします。
- 休止時間を設定します。
- 「休止時間」をタップし、オンにします。
- 「開始」と「終了」の時刻を設定します。設定した時間帯は、許可したアプリ(電話など)以外は利用できなくなります。
【Androidの場合:デジタルウェルビーイング&ペアレンタルコントロールを活用する】
Androidデバイスには「デジタルウェルビーイング」という機能があり、さらに「Googleファミリーリンク」を連携させることで、保護者からの詳細な管理が可能になります。
設定手順の例 (Googleファミリーリンク):
- 保護者のスマートフォンに「Googleファミリーリンク」アプリをインストールします。
- お子さんのAndroidデバイスにも「Googleファミリーリンク」アプリをインストールします。
- アプリの指示に従い、保護者とお子さんのGoogleアカウントを連携させます。
- Googleファミリーリンクアプリから、以下の設定が行えます。
- アプリの利用時間制限: 「お子様のデバイス」→「デバイス」→「アプリの制限」から、特定のアプリやカテゴリごとに利用時間の上限を設定できます。
- アプリの承認: お子さんが新しいアプリをダウンロードする際に、保護者の承認が必要となるように設定できます。
- デバイスの利用制限: 「利用時間の上限」から、1日あたりのデバイス全体の利用時間を設定したり、「おやすみ時間」を設定して夜間の利用を制限したりできます。
- Google Playでの課金制限: Googleファミリーリンクから、お子さんのGoogleアカウントの購入承認設定を変更し、アプリ内課金や有料アプリの購入に保護者のパスワードが必要となるように設定できます。
3-2. ゲーム機 (Nintendo Switch, PlayStationなど)
家庭用ゲーム機にも、利用時間や課金制限のためのペアレンタルコントロール機能が備わっています。
【Nintendo Switchの場合:みまもり設定アプリを活用する】
Nintendo Switchでは、スマートフォンに専用の「みまもり設定」アプリをインストールし、Switch本体と連携させることで、詳細な制限を設定できます。
設定手順の例:
- 保護者のスマートフォンに「Nintendo みまもり設定」アプリをインストールします。
- アプリの指示に従って、Nintendo Switch本体と連携させます。
- アプリから以下の設定が行えます。
- 1日のあそぶ時間: 1日あたりのプレイ時間の上限を設定できます。時間が来ると、画面にメッセージが表示され、自動的にスリープモードにすることも可能です。
- ソフトの制限レベル: 年齢に適さないソフトがプレイできないように設定できます。
- Nintendo eShop(ニンテンドーeショップ)での購入制限: お子さんがゲームを購入する際に、保護者のパスワードを要求する設定や、残高の追加を制限する設定は、保護者のニンテンドーアカウントのウェブサイトから行う必要があります。
- 任天堂のウェブサイトで保護者のニンテンドーアカウントにログインし、「ファミリー」の項目からお子さんのアカウントを選択し、購入制限などの設定を確認・変更してください。
【PlayStationの場合:ファミリー管理を活用する】
PlayStationシリーズでは「ファミリー管理」機能を利用して、お子さんのアカウントに対して様々な制限を設定できます。
設定手順の例 (PlayStation 4/5):
- 保護者のアカウントでPlayStation本体にログインします。
- 「設定」→「ペアレンタルコントロール/ファミリー管理」→「ファミリー管理」を選択します。
- お子さんのアカウントを選択します。
- 以下の制限を設定できます。
- 利用時間制限: 「1日あたりの利用時間」や「利用可能時間帯」を設定できます。時間が来ると、自動的にログアウトさせたり、通知を表示したりすることが可能です。
- 購入制限: PlayStation Storeでのコンテンツ購入に、保護者のパスワードを要求する設定が可能です。また、毎月の利用限度額を設定することもできます。
- 年齢による制限: ゲームソフトや動画コンテンツの年齢制限を設定できます。
各ゲーム機の具体的な設定方法は、メーカーの公式ウェブサイトで最新の情報を確認することをおすすめします。
4. ルールを運用する上でのポイント
ルールは作って終わりではありません。親子で協力しながら、継続的に運用していくことが大切です。
- 定期的な見直し: お子さんの成長や、新しいゲーム・アプリの登場など、状況は常に変化します。半年に一度、一年に一度など、定期的にルールを見直す機会を設け、必要に応じて変更しましょう。
- 親自身が手本を示す: 「子供には制限するのに、親はいつもスマートフォンを見ている」という状況では、お子さんは納得しにくいものです。保護者の方も、自らのデジタルデバイスとの付き合い方を見直し、良い手本を示すことが大切です。
- ルールは愛情表現の一つ: ルールは、お子さんを管理するためではなく、お子さんの安全と成長を願う愛情から生まれるものです。その気持ちを忘れずに、温かいコミュニケーションを心がけましょう。
- 困ったときの相談先を知る: 万が一、お子さんがオンラインでトラブルに巻き込まれたり、ルールを守れない状況が続いたりした場合は、一人で抱え込まず、学校の先生、地域の相談窓口、専門機関などに相談することも検討してください。
5. まとめ
お子さんのオンラインゲームや動画視聴に関するルール作りは、一朝一夕にはいかないかもしれません。しかし、親子で話し合い、お互いの意見を尊重しながらルールを定め、必要に応じてデバイスの機能でサポートすることは、お子さんのデジタルリテラシーを育み、安全で豊かなインターネット生活を送るための大切な一歩となります。
今日からできる小さなことから始めて、お子さんと一緒に「わが家のネットルール」を築いていきましょう。